浜地雅一厚生労働副大臣へ「アソビジネス」のご説明対談―サードプレイス啓蒙家・著者 潮凪洋介

浜地雅一厚生労働副大臣へ「アソビジネス」のご説明対談――サードプレイス啓蒙家・著者 潮凪洋介

潮凪:
本日は、お時間を頂きありがとうございます。拙書「アソビジネス大全(自由国民社)著:潮凪洋介」が発売されまして、本著の考え方につきましてご説明にあがりました。
アソビジネスというのは、「遊び」と「ビジネス」を合体させた、”会社と家の間のサードプレイスで楽しむビジネス”のことです。
家でもない、会社でもない第3の場所で、自分らしい好きで得意な生き方生き方と出会うための活動です。

昨今、副業が解禁になっていますが、副業というとどうしても、お金にフォーカスすることになりがちです。ですが、アソビジネスはウェルビーイングが目的になります。つまりは、アソビジネスは「自分らしい幸福度の高い人生をつくる」ための「本業外での働き方の概念」です。

浜地厚生労働副大臣:武見厚生労働大臣も、「副業」「働き方」という言葉を使わず「ウェルビーイング」と表現し、国民の幸福度を向上させたいとおっしゃっていますね。振り返れば、私たちが20代の頃は、副業や起業はなかなかハードルが高かったものです。当時は定年まで同じ会社で働くのが美徳のような空気もありましたね。

私自身もなるべくいい会社に入り、長く勤めるつもりでいました。しかし結果的に、最初の会社は3年、次の会社も2年。その後、後を継ぐつもりだった実家の建設会社が倒産をし、 司法試験を受験しました。結局は当初描いた「自分の入りたい会社に入って勤めあげる」という道筋とは異なる人生になりました。「いい会社で長く勤めたい」と思っていた私でも、結果的にはそうなりませんでした。潮凪さんの人生はどうでしたか?

潮凪:
私自身、良い会社に入って長く働くという考えはありませんでした。それよりも「自分らしさ」「自分らしい世界観」の方が大事でした。
会社ではない場所での活動、「サードプレイスづくりの促進活動」を20代はじめから、人生のテーマでやってきました。

新卒会社員になった瞬間から、「会社外で本当の自分になる場所を見つけましょう!」と「サードプレイス促進活動」をやっていましたから、会社の上司からよく叱責されました(93年当時)。「成果をあげてからやれ!まずは、黙って会社のために働きなさい」と。でも「皆は同意しても、自分はしない」とはっきり違和感を感じていました。20代の人生の全部を会社に捧げるつもりはないと、明確に思っていました。

浜地厚生労働副大臣:
なるほど。

潮凪:
私たちは、小学校から高校、大学までいろんな勉強してきましたが、社外で世の中の職業のことは、ほとんど学びません。当然、世の中にどんな仕事が存在するかもわからない。どの仕事が適職なのか?どんな仕事が好きか?じっくり理解し、考える暇もないまま就職する人がほとんど。ですから当時、「みんなもっと自分の人生大事にして、自分らしく生きないとダメだよ」と思っていました。だから、サードプレイスで自分を取り戻すことを叫んでいたんです。

浜地厚生労働副大臣:
たしかに、仕事を学ぶ授業も、仕事選びの授業も、なかなかないですね。

潮凪:
お医者さんや建築家さんのような専門職の方々は、そのための学校があります。しかし、それ以外の人々は、一般的な勉強だけして、突然「1年で企業を選べ」「 好きな仕事を選べ」っていわれて就職しますが、それは期間が短すぎて、当然、なし崩し的になるわけです。(笑)何が得意、好き、そして世の中にどんな仕事があるか?その中身も良く知らないまま、会社パンフレットやホームページを見て、なんとなく面接を申し込みます。そして、たまたま受かった会社に迷いなく就職します。

浜地厚生労働副大臣:
だから、大きい会社、安定してそうな会社っていうことになるでしょうね。

潮凪:
アソビジネス講演の時に聴講の方々に「好きなこと、やってみたいこと何ですか?」とたずねるのですが「やりたいことがわからない」と応える人が半数以上です。そのたびに“待ってました!”とばかり「サードプレスで、好きなアソビジネス見つけましょうよ」とすすめています。

浜地厚生労働副大臣:
以前は「好きなことをビジネスにしていく」というのは、夢の夢だったわけです。それを潮凪さんはずっと貫き通して、とうとう作家で身を立て、自分自身が1番好きなことを仕事をされています。そして、世間にその在り方を伝えようと、活動されていますね。副業や起業、好きなことでビジネスをやるっていうのが、まさに今ウェルビーイングの柱となってきてるので、時代が追いついてきたとも言えるのでは?

潮凪:
好きなことをアソビジネスにすれば、生まれてきた幸せを感じられる。幸福度が上がります。さらに言えば、65歳以降、好きで得意な仕事を楽しくやっていたら、35年間、ずっと幸せです。

浜地厚生労働副大臣:
そうですね。私も政治家引退後の人生をどう生きるか、考えることがあります。やはり趣味性の高いものや好きなことも積極的に、仕事のなかに取り入れていきたいと感じます。

■遊びをビジネスに変えるブリッジが必要

潮凪:
「社外でビジネス立ち上げるぞ!」と意気込むとどうしても難しくなります。ですから自分が好きで得意なことにまず気づいて、 そこをビジネスにしていくのが近道です。
この遊びから仕事への「橋掛け」ですね、ブリッジをかけるときのセンスが必要になります。
得意で好きなことを、「人に教える」「人を集める」「マッチングする」「サポートする」「商品にする」などのいくつかの切り口があります。
例えば、座禅とヨガとアーユルヴェーダの3つをコラボしたイベントを開催するお寺があるんです。しかも、1200年続く、格式あるお寺です。これも、ご住職の「あったらいいな」という遊び心から生まれた催しでしたが3つのコンテンツを合体させ、「集う」「教える」状態をつくるのがビジネスポイントでした。

浜地厚生労働副大臣:
それはすごいですね。代々のお寺という伝統を重んじるしきたりのなかで、その伝統を守りながらも「遊び心」のある「あったらいいな」で、あたらしいアソビジネスをつくりだしたのですね。

潮凪:
そうですね、坐禅とヨガとアーユルヴェーダは、どれも同じエリアが発祥で、仏教の歴史ともシンクロしますね。

浜地厚生労働副大臣:
そのお寺イベントは、実際にビジネスとしてはどうだったのでしょう?

潮凪:
そうですね、多少収益にはなるようですが、お寺さんですから、地域に還元したりなどされています。住職はお寺本来の「心のよりどころ」としての“あり方”をつくりたかった。その目標は達成されたようです。
一般的な例だと、カフェカーなどは皆憧れますね。本も販売して、移動図書館のようにして、ときに音楽をかけて、人の集いの場を作る。好きなものを、いろいろ組み合わせて、自分の世界観を確立する。それはとても楽しいですよね。

浜地厚生労働副大臣:
その方は、元々ビジネスをやる前はどんな趣味を持っていましたか?

潮凪:
その方は、人が集まる場を作るのが趣味でした。会社員でしたが副業が許可されていました。「じゃあカフェカーで、人集めて、音楽をかけて、イベントをやってみよう」と始められたんです。
今、少子化が問題になっているので、男女のお見合い的なことをアソビジネスとしてやる方もいます。 例えば、英会話が得意な人が「英語しか喋ってはいけない婚活パーティ」を開きました。英語の練習にもなるし、婚活にもなる。ご本人は主催していて相当楽しそうでした。

浜地厚生労働副大臣:
「英語だけで話す。」ということですが、それは外国人の方もおられるのですか?

潮凪:
はい、いらっしゃいます。

浜地厚生労働副大臣:
婚活がテーマではあるけど、英会話の訓練にもなるという。
単に英会話だけなら長続きしない人も、婚活もできるとなると、続けられそうですね。

潮凪:
やっぱり婚活と言うと「恥ずかしくて来れない」という方もいるので、英語の練習に集まり
ましょう!と、言い訳を用意したパターンですね。

■本業外のサードプレイスで楽しく働く

浜地厚生労働副大臣:
アソビジネスは、第3の場所でおこなうということは、あくまで本業は別にあると言うことですか?

潮凪:
そうです。会社員の方でも、経営者や自営業者でも、それは同じです。

浜地厚生労働副大臣:
本業をやりながらアソビジネスをする?

潮凪:
はい!本業は辞めない方がいいです。私自身も「本業を続けてください」とおススメしています。

浜地厚生労働副大臣:
でも、アソビジネスがうまくいけば、そっちの方が楽しいですから、それを本業にしたくなりますよね。

潮凪:
それもいいですね。ただし、アソビジネスでの独立は、アソビジネスでの潤沢なキャッシュフローが3年以上続いてからがいいです。私自身、急に会社を飛び出して、すごく苦労しましたから。私と同じ目にはあってほしくないです。

浜地厚生労働副大臣:
たしかに、安定した大会社にいることの安心感やステータスに重きを置く人もいそうですね。本業とは別のところで、アソビジネス的なものをやることで、バランスを取っている人もいると言うことですか?

潮凪:
大勢おりますね。ある東京の区役所職員の方が、音楽DJをやっているんです。色々な集いに足をはこび、曲をかけて、人の輪をつくり、人々のサードプレイスにも貢献、ご本人もウェルビーイングを感じながら過ごしています。ノーギャラでやっています。

浜地厚生労働副大臣:
厚生労働副大臣は副業ができませんが、国会議員は副業ができるんです。普段は難しい話をしている国会議員が、週末にカフェカーでコーヒーを売っている絵があってもおかしくないということですね。

潮凪:
それは、なんと粋ですね!(笑)国民の生活を肌で感じる議員さん。さらには、ご本人も一国民として、等身大の幸福感を感じているという。

浜地厚生労働副大臣:
本当はそれぐらいの豊かさがあった方が、国民の皆さんも政治に興味を持ってもらえるんじゃないかとも思ったりしますね。ある程度固い仕事をしている人が、好きなアソビジネスやってる姿を見て、みんなが「いいなあ。楽しそう。」と思える世の中になったほうが、豊かな働き方になると思います。

■アソビジネスで家族の団らんも楽しく

浜地厚生労働副大臣:
昨今、共働きが増えていますよね。さらには、ローンも家賃も高いし学費もかかるので、少しでも収入を確保したいという思いで、会社外で副業をされるという方も増えています。そういう方々に何かアドバイスはありますか?

潮凪:
そうですね。家族を養い、子供を育てるために働くことは、本当に尊いことだと思います。
仮にそれ以外の楽しみがなかったとしても、それは本能的に人間の心を満たすと感じます。でも、好きで得意なアソビジネスを楽しみ、そこから収入を得ることは、また別腹の幸福感に繋がります。
幸福感情があるからこそ、夫婦関係も良くなり、お父さんが子供の前でも笑顔になり、明るい希望と創造の会話が増えます。
だからもしも、2割の余力があったら、 「ママの好きで得意なこと何だっけ?」と話題にあげていて欲しいのです。 「ママはアクセサリー作りが大好きなのよ」「パパは整体マッサージが得意だな」と。その次は、それらをアソビジネスにするために、否定厳禁でアイデア出しをして応援し合ってみる。これだけで、家族の団らんは笑顔と夢であふれかえります。それに、軌道にのれば、すこし収入も増えますしね。
浜地副大臣の場合は、1番自分が好きなことにお気づきになることだと思います。

浜地厚生労働副大臣:
それが、気づけないんです(笑)私の場合は好きなものが見つかってもいないし、なかなか好きなものを好きとそのままストレートに言いにくい職業でもあります。そういった仕事柄の人はどうしたら良いでしょうか?

潮凪:
実は、そういった方、多いのではないでしょうか。 そういう場合は、もうお1人で、1泊2日の小旅行に行って、自分と見つめ合い、好きなこと探しをする。「これかな?」と思ったら、1回それで純粋に遊んでみる。お金をいただかずにまずは、自分に合うか、没頭してみるのがいいのではないでしょうか。

浜地厚生労働副大臣:
できれば、私もアソビジネスに挑戦してみたいですね。

潮凪:
同じような立場の方と、「自分はこれやりたい」「彼はあれをやりたい」「彼女はこれやりたい」という具合にみんなで応援し合って、あんまり多くの人を巻き込まずにアイデアを膨らます。自分ひとりで考えずに、皆からアイデアを貰う。そして実際に世の中に存在するサービスと、掛け合わせる。そしてたった1人、熱狂的に欲しいと言ってくれた人の意見をふんだんに聞いて、価値を上げて、サービス化、商品化するといいです。

浜地厚生労働副大臣:
積極的に自分から、昔の友達や、新しく知り合った人と接したい。サードプレイスですね。そこで、自分の感覚に素直になって自分の好きに気付くことからですかね。そこから自分にあった種が見つかる。

潮凪:
そのときの気付きを、細く長く、温めていただくのがいいと思います。その炎を消さないように。その過程の1秒1秒にも幸せは宿ります。「何が好きで得意なのかを忘れました」と言うのは、人間として生まれてきて一番残念なことの1つだと思うのです。だから、楽しみながら、あきらめずに見つけてほしいのです。
今の浜地副大臣は国民の皆さんの幸せな顔を見る、あるいは苦しみから抜け出た瞬間の顔を見るのが何より、「好きなこと」であるようにお見受けしますよ。

■アソビジネスと本業のバランス

浜地厚生労働副大臣:
アソビジネスは楽しくて「幸せな副業」という位置づけかと思うのですが、おそらく「本業をおろそかにしているんじゃないか」と言う意見もでますよね。

潮凪:
それは社内でやっぱりそう言われないように、本業をきっちりやって、アソビジネスが「本業のこれだけプラスになっている」ということを 会社目線でちゃんと伝えるってことです。僕はこれ、20代の時に大失敗をしております。会社の仕事がすごく疎かになり、
会社の上司から電話がかかってくると、アソビジネスの屋号で電話に出るわけですよ。
「何をやってるんだ。外で会社やってたのか」と。(笑)

浜地厚生労働副大臣:
自分の遊びとか趣味をビジネス化して、自分ごとで思考錯誤してみる。それにより本業にもいい効果が出るんですかね。

潮凪:
そうですね、「全部自分でやってみた」「自分の顔で人脈ができた」が本業のプラスになります。本業にいい効果が出るように、ちゃんと流れを組むんです。ただ、これに関しては越えられない壁もある。職業との相性っていうのがありますから。そうすると、ありがたくも採用していただいた会社が、自分の特性と合わない場合、適性のある会社に転職されることが、会社にとってもとってもいいんじゃないでしょうか。
ここは少しドライに選択をしたほうが良いと思います。

■皆様へのメッセージ

浜地厚生労働副大臣:
30年前は、副業・起業、 ましてや自分の遊びや趣味をビジネス化するなんていうのは、本当に御法度のような時代でした。
今、本当に、ウェルビーイングという言葉が飛び交い、自分らしい幸福度を実感しながら仕事をしていくことが求められてます。その1つのヒントとして学生時代からの知り合いの作家潮凪洋介さんの「アソビジネス大全」を題材に、ディスカッションさせてもらいました。アソビジネスというものがウエルビーイングにとって非常に重要であるということがわかり、大変参考になりました。

潮凪:
ありがとうございました。副大臣、よろしければ、これからの時代を作っていく若い世代の皆さんに向けても、メッセージをいただけますでしょうか。

浜地厚生労働副大臣:
私は1970年生まれの53歳です。 大学に入った時はバブル。大学を卒業してバブルの崩壊。”失われた30年”という時代で、なんとかもがいて「自分らしく」と思い、生きてきました。

時代は変わりました。今の若い方は、自分の好きなことや、力が出せることをやっていくのが1番いいと思っています。例えば、私も司法試験の勉強を30歳過ぎから始めました。その時、「歳を取っての勉強はすごく大変でしょう」と周りからもよく言われました。しかし、傍から見て苦労に思えることも、当の本人である私はとても有意義で楽しいと感じていました。

本人とって実は、やりがいがあって、楽しい。 緊張感もプレッシャーもあるけれど「じゃああなた、これをやめますか。」と言われても「いやいや、大変かもしれないけれど、やり続けることがハッピー」と思えることをやること。そのようなことを選ぶのが大切であると思います。

キツそう。それでも自分がやってみたいことこそ、おそらく自分に1番合っていることだと思います。自分で最善の生き方を選び、豊かな人生を過ごし、豊かな日本にしていただければと思います。

潮凪:
浜地副大臣、今日はありがとうございました。

(2023年12月29日更新)

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